秋吉かずき
秋吉かずき
伊藤正人
伊藤正人
武内優記
武内優記
往復書簡
往復書簡

「可能性で空間を満たすこと」

 

 伊藤は言葉、武内はオブジェを使い、それらを配置しながら関連させていくことによってわずかな質量からでも豊かに空間を満たしてゆく。あくまでも言葉はインクであり、オブジェは金属やプラスチックであり、いくばくかの質量を携えてはいるが、それらは物質が持つ質量以外の物理性、例えば時間や距離、また物理性以外の要素を含みながら、質量とは異なる奥行きに向かって広がる。

 目に見えない奥行きは、固定された質量と相俟って、物質を複雑に現実世界と結びつけ、環境や鑑賞者と作品との多様な関係のありかたをもたらすだろう。これを「可能性」ということができるかもしれない。固定された質量を最小限にとどめ、環境や鑑賞者との関係によって変化する可能性を作ることによって、彼らは空間を満たしているのではないだろうか。

 

 <秋吉かずき>