表現の素材や技法に元来際限などありません。中心の外には周辺があり、そこにもまた周辺があり、領域は無限に広がっています。そして今日も、可能な限り新しい表現は生まれ続け、隙間を埋めてゆくかのように美術は多様化の一途をたどるばかりです。しかしまた、周辺が存在するためには中心が必要であることも事実です。
この度、彫刻や、その周辺で空間にまつわる表現を続けてきた14の作家の作品を集め、展示いたしました。それらはそれぞれ異なるテーマの下、様々な素材や技法を使いながら制作されており、そのビジュアルも様々です。立体作品を中心に、立体以外の要素も含んだ作品や、もはや立体とは言い切れないような作品もある中に、今日の表現の多様性を見ることができるでしょう。
しかし一方でこれらの作品は制作プロセスにおいて一つの共通点を持っています。すなわち空間に作品を制作する以上、いかなる作品も”空間と関わる”というプロセスを免れることはできません。そして、重力や時間などの現実世界を律する様々な力を受け止め、バランスをとりながら制作するその過程こそが、空間に展開される作品のリアリティを担保しているともいえます。この共通点を一つの中心としたとき、その系譜を彫刻と呼び、その多様性と秩序に彫刻のコスモロジーを見出すことはできないでしょうか。
「彫刻のコスモロジー/The Cosmology of Sculpture」
[一期]2013年2月23日(土)から3月12日(火)まで
参加作家:秋吉かずき/伊藤正人/武内優記 || 中西祐喜/池崎拓也/遠矢麻野
[二期]2013年3月16日(土)から3月30日(土)まで
参加作家:阿部乳坊/荒川創也/木村泰平/three/ユミソン || 渡辺秀亮/牛嶋均/大谷俊一
<会場>
金沢美術工芸大学アートギャラリー
<企画>
金沢美術工芸大学彫刻専攻/
秋吉かずき(非常勤実習助手)・阿部乳坊(非常勤実習助手)・
中西祐喜(非常勤講師)・渡辺秀亮(非常勤講師)
<主催>
金沢美術工芸大学