池崎拓也
池崎拓也
遠矢麻野
遠矢麻野
中西祐喜
中西祐喜
あとがき
あとがき

「彫刻を考える場」

 

 今展覧会のコンセプトとして、彫刻表現に於ける多様性をもとに私からは池崎拓也氏と遠矢麻野氏、2名の作家に出展のお誘いをした。

 両名とも私にとって高校の先輩であり、美術を始めた頃は共通の環境で作品と向かい合ってきた。卒業後、両作家は大学で彫刻を学んできたという訳ではないが、現在制作している作品を見ると両名とも彫刻作家として領域を同じく制作していると感じる。今展覧会の中心に据えた、彫刻表現に於ける多様性に繋がる作家達であると考える。

 池崎氏はインスタレーションなど様々な手法や素材で作品を制作しているミクストメディアの作家であると言えよう。作品から感じる色彩の豊かさと素材を足して作り上げていくスタイルは絵画を専攻していた彼の足跡を感じさせる。また、空間を意識した造形と配置。この要素が彫刻の領域として彼の作品を位置づける事の出来る要因となっていると考える。

 遠矢氏の作品は手芸的な技法をつかい、生物をモチーフに具象的な造形を中心に制作している。また、作品から漂うノスタルジックでありミステリアスな雰囲気は作家が女性である事を感じさせる。基本的に小品といえるサイズでの作品形態をとられているようだが、小さい作品からも空間の広がりを感じ、彫刻的要素を備えていると考える。

 両作家とも作品を空間とどのように関わらせていくのかを大きな要素の一つとして携えている様に思う。私が二人に声をかけた理由は、「彫刻」とは何か。ということを考える場を作る事にある。 両作家が自身の作品を「彫刻」と考えているか否かは別にして、(おそらくそうは考えていない)異なるベクトルから作品に向かい合っているのにも関わらず、作品からは「彫刻」を感じとる事が出来るということ。この事は「彫刻」を考えるのに良いきっかけになるのではないだろうか。

 

 <中西祐喜>